テクニカルINFO

合成スケール

合成スケールとは、合成スタート時に用いる固相単体の量のことを指し、実際に回収される量、あるいは保証収量とは異なります。
これは、各ステップごとに未反応の合成DNAが僅かずつ生成され、また同相単体からの切り出しや精製などでロスが発生するため、スタート時の量よりも最終回収量は少なくなることによります。
詳細は、保証収量一覧表をご覧ください。

合成DNAの定量

弊社では、分光光度計により50倍稀釈して得られたABS値(UV=260nm)と下表のモル吸光係数を元に、最終回収量を算出しています。

A C G T U
15200 7000 12000 8400 10100

(A260、pH=7)
吸光度の測定は、pHやイオン強度の変化、あるいは測定機器の違いから大きく変動することがあります。

Tm値の計算

Tm値の計算式には代表的なものがいくつかあり、用いる計算式によって値が変化します。
弊社では、「Current Protocols in Molecular Biology」に準拠した計算式を用いています。
● 17mer以下の場合*
4×(G+C+R/2+Y/2+M/2+S+K/2+D/3+H/3+2B/3+2V/3+N/2)+
2×(A+T+R/2+Y/2+M/2+W+K/2+2D/3+2H/3+B/3+V/3+N/2+I+U)
● 18mer以上の場合*
60.8+41×{(G+C+R/2+Y/2+M/2+S+K/2+D/3+H/3+2B/3+2V/3+N/2)/塩基数}-(500/塩基数)
* 塩濃度条件
0.0567(M)=0.05(KCl濃度)+0.01×0.67(Tris濃度)
50mM KCl濃度
10mM Tris-HCl濃度(pH8.4~9.0 at 25℃)

Mix塩基

Mix塩基は、下表のIUBコードによって表記されます。

A B C D G H K
adenine (CGT) cytosine (AGT) guanine (ACT) (GT)
M N R S T V W
(AC) (ACGT) (AG) (CG) thymine (ACG) (AT)
Y U I
(CT) uridine inosine

Mix塩基を含む配列は、その塩基の含有比率などにより、強い高次構造をとりうる場合がございます。そのため、HPLC精製や、PAGE精製を行うと、目的の配列を失う可能性があります。
このようなことが予測される場合、弊社担当者より精製方法の変更をご提案させていただく場合がございます。

S化

S化は、リン酸ジエステル結合部分の酸素原子が一つだけ硫黄原子に置き換わっている骨格を持つ合成DNAで、アンチセンス分野によく用いられます。
弊社では常時大量合成できる設備を持ち、電気泳動、およびLC-ESI-MS質量分析による厳密な品質管理によって常に高品質のDNAをご提供しています。


ノーマルDNA
(Phosphorodiester)

S化DNA
(Phosphorothioate)

チオール化DNAの取り扱い

弊社で提供しているチオール化DNAにつきましては、チオール基同士がS-S(ジスルフィド)結合してしまうことを防ぐために、チオール基に保護基が結合した状態でお届けしています。
そのため、ご使用になる直前に、保護基を除去する必要があります。詳細な脱保護方法は、製品発送時に添付している「チオール化オリゴマーご使用上の注意」をご参照ください。

リアルタイムPCR用プローブ

弊社でご提供しているリアルタイムPCR 用プローブは、合成DNA の5′ 末端に「6-FAM」、3′ 末端に「TAMRA」を修飾しています。
弊社システムでは、HPLC 精製時に合成DNA、6-FAM、TAMRA の吸光度を同時にモニターすることで、確実に修飾されたDNA のみを得ることができます。精製後の品質管理は、電気泳動、LC-ESI-MS 質量分析に加え、分光光度計による全波長モニターにて、FAM とTAMRA が合成DNA1分子に1:1で修飾されていることを確認することにより、常に高品質なプローブをご提供しています。

質量分析(LC-ESI-MS)

弊社では、早くから合成DNAの品質管理に質量分析を取り入れて、高品質な合成DNAをご提供しています。LC-ESI-MSは様々な生体高分子の質量を正確に測定することが可能な分析手法です。

電気泳動(PAGE)

ポリアクリルアミドゲルを用いて実施しています。
精製度と塩基数に応じたバンドを検出することにより、高度な品質を保つことができます。Mix塩基の含まれている配列は、強い高次構造をとる場合があります。また、Mix塩基を含まなくても、高次構造(ヘアピン構造)をとりやすい配列の場合、バンド位置が上下したり、複数のバンドが現れることがあります。
一部の修飾DNAは、修飾基の大きさなどにより、未修飾のDNAよりも移動度が小さくなりバンド位置が上がることがあります。

RNA合成

近年、RNA関連分野では、これまでのプロセシング、翻訳過程、輸送経路等の基礎的研究のみならず、発生、分化、再生、神経系、病態などの発現機構の解明、人為的制御による発現解析にも広がっており、多種多様な生命現象と深く関わっています。弊社では、これら様々なRNA研究ツールとして研究者の皆様にご利用していただけるよう、RNA受託合成サービスを承っています。

修飾DNA

弊社では、現在までに培ってきた高品質なDNAを合成する技術を用いて、様々な修飾基を導入したオリゴヌクレオチドの合成を行うことができます。
品質検査は、電気泳動はもちろん、50mer以下の製品であればすべての修飾DNAについて、LC-ESI-MS質量分析を行い、厳密な品質管理を行っています。
そのため、常に高品質で安心できる修飾オリゴをご提供しています。
掲載されていない修飾DNAも随時ラインナップに加えていく予定です。お気軽にご相談ください。

蛍光標識

弊社でご用意している蛍光標識の吸収、発光極大波長は以下のとおりです。

標識名 FITC
(6-FAM)
TAMRA ROX Cyanine3 Cyanine5 BHQ1
(クエンチャー)
BHQ2
(クエンチャー)
BHQ3
(クエンチャー)
Absorbance (nm) 495 544 576 552 643 534 579 672
Emission (nm) 520 576 601 570 667
Fluorescent
(Color)
Yellow-Green Yellow-Orange Orange Yellow Red
  • ※ DNA への修飾、塩基配列により、各波長はシフトします。
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