微生物ゲノム解析事例のご紹介

細菌・真菌・ウイルスなどの微生物は、私たちの目にはほとんど見えませんが、体表や消化管・環境中などに存在する身近な生物です。微生物というと、病気を起こす病原微生物を思い浮かべる方も多いかもしれません。
遺伝子変異による強毒化、薬剤耐性の獲得などにより、さらなる厄介者となるケースもあります。

一方で、お酒・乳製品・お漬物などの飲料・食品製造に力を貸してくれる有用微生物がいるのも、ご存知の通りです。近年では遺伝子工学により、サプリメントや医薬品の製造もお手伝いしてくれる、頼もしい仲間も生み出されています。これら微生物について、その特性を詳しく知ることは、以下のような対策に必要かつ有用です。

  • ・病原微生物:予防・治療のための病原メカニズムの解明⇒予防法・有効な薬剤の探索や開発
  • ・有用微生物:高い代謝能力など、有用性メカニズムの解明⇒改良やバイオ製品への応用

本稿では、メカニズム解明のツールとしての遺伝子解析について、ご紹介します。

 

事例1:有用菌株における遺伝子変異の探索

  • ・背景:微生物に変異を導入し、ある物質の産生能が向上した変異株を得た。
  • ・目的:当該形質(物質産生能の向上)に関与する遺伝子変異の探索。
  • ・手法:変異株の全ゲノムシーケンスを行い、野生株(標準株)との比較で遺伝子変異を探索。
  • ・結果:変異株で特徴的な変異が見つかり、関与する遺伝子変異の候補を得た。
  • ・その後の展開:当該変異の有無による変異株のスクリーニング⇒優良菌株の選別、製品への利用

<解析データ例>
ゲノム上の変異(SNP・挿入/欠失)の一覧情報が得られます。

 

<解析のポイント>
★野生株(標準株)の解析も必須
全ゲノムシーケンスでは、ゲノムワイドな探索により、目的の変異以外の変異候補も多く見つかります。
変異株とあわせて野生株(標準株)も解析することで、その変異株に特異的な変異を同定します。
★病原微生物の解析にも適用可能
同じ手法で、病原微生物の強毒株・薬剤耐性株における原因遺伝子変異の探索も可能です。

解析概要はこちら

 

事例2:オリジナル菌株のデータベース作成

  • ・背景:ラボで工業的に有用なオリジナルの菌株を保有している。
  • ・目的:当該菌株ゲノムの新規解読、ゲノム配列・遺伝子データベースの作成。
  • ・手法:対象菌株のゲノムシーケンスを行い、ゲノム全長の塩基配列を構築、遺伝子情報を得る。
  • ・結果:全ゲノム配列情報と、全機能遺伝子の情報が得られた。
  • ・その後の展開例:
    ・類似菌株のゲノムと比較し、当該菌株の形質に関与する遺伝子を同定。
    ⇒改良や選別の際の基本データベースとなる。
    ・毒性のある遺伝子が無いことを確認した後、生菌剤として製品化する。

<解析データ例>

<解析のポイント>
★使用機器(シーケンサー)について
必要なゲノム配列のグレード(ドラフトゲノム~コンプリートゲノム)により、使用するシーケンサーには複数の選択肢があります。コストパフォーマンスに応じお選びいただけます。
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