課題解決事例
事例1
お客様：官公庁
◎ 目的：
細菌（約1,000株）の特定遺伝子の解析・遺伝子型判別
◎ 背景：
過去、とある機関に約1,000株の細菌の特定遺伝子の解析（PCR～サンガーシーケンス）と解析結果からの遺伝子型判別を依頼したが、大半の検体がシーケンスデータ不良で遺伝子型判別ができず、困っていた。
◎ 課題（お客様へのヒアリング）：
当該機関からは、PCRでの増幅不良、シーケンスでのデータ不良に関して「結果は結果」としてデータが提出された。改善・再解析を希望するも、条件検討・再解析のノウハウが不足しており、「やりようがない」と断られた。
◎ 弊社からのご提案：
ヒアリング内容からは、解析困難が予想されるような特殊な遺伝子配列、特殊な検体という要素は見受けられず、提供検体の品質管理、解析工程管理が妥当であれば、ほとんどの検体で解析結果を得られる見込みがあることをご提案した。
◎ 結果：
約1,000株のうち、数株を除く99%以上の検体で、良好なシーケンスデータが得られ、ほとんどの検体で遺伝子型判別に成功した。
≪ ポイント ≫
HSSでは受託解析においてもISO9001に基づく品質管理体制を確立しており、標準化された解析プロトコル、また解析工程のトレーサビリティ（追跡可能性）の担保があります。これまでの解析経験より、解析不良に関するトラブルシュート、改善のノウハウの蓄積も豊富です。
事例２
お客様：民間企業
◎ 目的：
あるウイルスについて、ゲノムを明らかにし特定の遺伝子の存在を確認したい。
◎ 背景：
農産物である宿主植物に感染し、葉に病変を起こす病原体がある。ウイルスである可能性が高いが、詳細は不明。何をどのように調べるべきか、情報を探していた。
◎ 課題（お客様へのヒアリング）：
これまでの研究で、既知のRNAウイルスに近縁である可能性が高いと考えられるが、実際のウイルスの種については不明。ゲノム解析での同定、病原性関連遺伝子の存在を確認したい。実体が確定していないので、ウイルス自体の単離は難しい。
◎ 弊社からのご提案：
感染組織の全RNAをサンプルに次世代シーケンスを実施、情報処理で宿主配列の除去やウイルス由来配列の抽出、アノテーションを実施することで、ウイルスゲノムの同定と原因遺伝子の探索が可能であることをご提案。宿主RNAの混入があっても十分にウイルスゲノムの同定が可能なデータ量で、解析プランを設計。
◎ 結果：
次世代シーケンスのデータの大半は宿主RNA配列であったが、ウイルス由来配列の抽出に成功、当該ウイルスのドラフトゲノム配列の構築、In silicoでのアノテーションにより、病原性への関連が示唆される候補遺伝子が見つかった。
≪ ポイント ≫
一般的にウイルスゲノムの解析では、セルフリーウイルスの精製などを実施しても、宿主細胞由来の配列の混入は避けられません。そこで次世代シーケンサの高出力を利用し、宿主配列も含めてシーケンス、情報処理で目的のウイルス配列を抽出する手法を取れることがあります。本法は、ウイルスを含む偏性細胞内寄生体や、ミトコンドリア・葉緑体などの細胞内オルガネラのゲノム解析にも応用可能です。
事例３
お客様：国立大学
◎ 目的：
ある微生物の薬剤耐性に関わる遺伝子変異を同定したい。
◎ 背景：
上記目的のため、とある機関に当該微生物の遺伝子解析を依頼した。感受性株をコントロールとし、約10株の耐性株のシーケンスを委託した。今回、類似の内容で弊社へのお問合せをいただいた。この時点では、特に課題は認識されていなかった。
◎ 課題（お客様へのヒアリング）：
先の依頼では委託先機関から、約10株それぞれの耐性株の変異解析結果が個別のリストとして納品された。共通の変異を探索するため、お客様自身で納入された変異テーブルを加工・連結して比較テーブル作成を行っていた。
- ◎ 弊社からのご提案：
- ① ヒアリングの結果、耐性株のシーケンスを個別に実施する必要はなく、耐性株のゲノムを混合したバルクサンプルの解析で共通変異の抽出が可能であることをご提案。実質、感受性株vs耐性株の２検体比較となり、データの取り扱いも簡便・容易になることをお伝えした。
- ② 変異テーブルについては比較テーブル形式で納品可能、そのまま候補変異の絞り込みに利用可能であることをご案内した。
◎ 結果：
10検体（10株）ほどの解析が必要と考えていたお客様にとっては、実質２検体の解析となり費用削減に成功、データも軽くなり目的の変異の抽出に成功した。
≪ ポイント ≫
実験系の組み方によって不要な検体の解析を省くことにより、費用・手間・時間の削減が可能なケースがあります。また解析データを実際にお使いになる場面を想定し、納品形式についてもご要望を伺います。
